こちらエミーラ通信所

ポストアポカリプスSF百合ファンタジー「明ける世界の夢見る機械」公式広報ブログにして壕野一廻個人雑記帳

6時間、5人、そして1万字——文藝ハッカソンに参加しました

6時間を掛け、5人で1万字の小説を書こうという催しを友人が企画していましたので参加しました。自分では絶対に書けないタイプの話が綺麗に仕上がったのがとても面白い体験だったので、今日はその報告をしていこうと思います。

参加前史

友人のDiscordで何やらワイワイやっておるなと思ったら、文藝ハッカソンやろうぜ!ということでした。文藝はわかる。ハッカソンはわかる。その二つの足し算、そういうものもあるのか……!面白そうと思った私は勇んで名乗りを上げたのでした。(日程が合わなさそうとしばらくもじもじしていたという噂がありますが、正史は「荒唐無稽な戯言」と一蹴しています)

ちなみに、この催しの元ネタになった作品があるらしく(自分は残念ながら未読)、今度読んでみたいと思っています。

comic-days.com

リモートの難しさをテクノロジーで解決しよう

6/4(土)13時には人々が続々と集まり、やってやりますかという気運が高まる。打ち合わせどうしよう?という話が出たんですが、まあ必要になったらでいいかという流れに。ですが、こういうオンラインの催しでコミュニケーションのチャネルがふわふわしているのは結構怖い!しかも時間はタイト!そう思ったので、おずおずとScrapboxというツールを提案してみました。サッと書ける代わりに構造化された情報をまとめるには向いてない、みたいなツールなので、こういう場には便利そうという感覚。その読みは実際大当たりで、めちゃくちゃ活用できました。そのときの様子はこんな感じ。

scrapbox.io

あらすじコンペティション

ネタは三題噺のお題を作ってくれるツールを用いて先頭二つを取るという方針。結果として、「ココア」と「悪夢」が選ばれました。眠れぬ夜に見る悪夢とか、接触管理アプリとか、いろいろな案が出たんですが、議論はやがて「悪夢を見るココアを売る少女」に収束。だんだんお互いの中に湧き上がってきた物語を断片的に話していそうだなという雰囲気になってきたので、一旦分かれて個別にあらすじ案を作ることにしました。自分じゃ絶対思いつかないお話が並ぶ中、最終的にはキャラクター性が優れていて構成的に分業もしやすそうなものが投票によって選ばれました。それがこちらです。

いざ本文へ

ざっと必要そうな設定を決めたら並列に本文へと取りかかっていきます。ここで誰もが疑問に思うでしょう。「物語って時系列的だから、並列にやると破綻しない?」。我々もそれは心配していて、担当の分割の仕方を工夫しました。明らかにシーンが変わるだろうという切れ目をあらかじめ議論しておいて、それによって作品を五分割したのです。そして、本文開始から1時間後くらいに一旦お互いの書いた部分に目を通してみました。意外や意外、細かい調整は必要だったけれど、大筋では綺麗にまとまっていたのです。微調整の打ち合わせをして再び我々は解散、再び作業に入りました。 このときの感覚は非常に面白くて、ここまでスムーズにキーボードを叩けたのは久しぶりだなという感覚がありました。人々と話し合うことで物語の大筋が見えていたこと、それと普段書いてないタイプの話だったので、アウトプットされてないインプットがたくさんあったのが大きいのではないだろうかと思っています。

本文がっちゃんこ

こうしてできあがった本文たち。結合して平仄を揃えようということになりました。台詞についてはキャラクターごとに一人が担当して揃えたり、自分は秘蔵の小説整形ツールを動かして全体に統一的な規則を与えたり、そうして仕上がった作品が、これだ!!

kakuyomu.jp

うーん。結構いいできばえではなかろうか?何事か偉大なことを成し遂げたという高揚感に踊らされて客観視しきれない部分はあると思いますが、少なくとも破綻は来していないと思う。小説を書く上での分業の可能性を感じた気がします。ある意味、ソシャゲなどでやられているというシナリオの高度な分業はこれの大規模化したものなのかもしれないですね。

ふり返り

よかったこと

  • リモート環境下でもうまくコミュニケーションを取る体制が作れた
  • ほぼ目標ページ数に収まっていた
  • 完成した
  • 楽しかった

課題

  • 登場人物の容姿などについては決めきれなかったため、本文中ではだいぶふわっとしてしまっている
    • 細かい設定の粒度で勝つタイプの作品を作るのは不向きな体制に感じた
    • 設定を考える人と話を考える人を分けるような垂直分業のほうがその種の作品には向いていそう
    • 今回の場合話の方向性がそちらではなかったので問題にはなっていない
  • 複数チームがあるともっと盛り上がるのではないかという議論がされた。確かにそれはそうだと思うのでやってみたい
  • あらかじめコミュニケーションのテンプレートがあると時短になりそう
    • 仕組みを作ることに夢中になって肝心の参加者がつまらない、とならないようにはしなければいけない

おわりに

楽しかった!みんなもやってみようぜ!というのと備忘とを兼ねた記事なのですが……ついでに!宣伝させてください。弊サークルが制作しておりますポストアポカリプスSF百合ファンタジー「明ける世界の夢見る機械」。この機に一度読んでみてもらえるととても嬉しい!よろしくお願いします!

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