夏コミお疲れ様でした & 読んだ本の感想など
夏コミ・コミティアなど皆さんお疲れ様でした。弊サークルはいつも通り楽しく熱い(暑くもある)コミケを過ごすことができました。いらしてくれた皆さん、お手伝い頂いた皆さんにはこの場を借りてお礼させてください。
「あけゆめ」の連載が停滞気味なのは申し訳ない。ここで止める気は毛頭無く、引き続きやっていくつもりなので今しばらくお待ちください。
さて、イベント続きだったので素敵な本ををいろいろと読むことができました。積み本を崩すという遠大な事業は道半ばですが、一旦ここにアーカイブしておこうと思います。
1ツイートで完結しているものたち
【御伽の逃亡/Tom】
— 壕野一廻@2日目ハ19b (@Type10TK) 2023年9月3日
主人公自身の過去にまつわる謎にぐんぐん引かれているうちに読み終わってしまった。やや変則的な逃避行の話で新鮮。
あと、Tomさんの漫画は表情が本当に好きなんですよねえ。ボリュームたっぷり素敵な読書体験でした。 pic.twitter.com/KVvXhJELCu
【好教授的集中講義/ボストーク通信社】
— 壕野一廻@2日目ハ19b (@Type10TK) 2023年9月3日
癖の強い眼鏡キャラが好きなので、癖の強い眼鏡キャラが出てくると嬉しい気持ちになります(私欲)
ヘンテコガジェットなどを主題にした短い話は好物なので、7ページあたりの完全に本末が転倒した展開が滅茶苦茶面白かったです。このシリーズもっと読みたいな… pic.twitter.com/A2yZ0b0bL0
【深夜放送 他二篇/萵苣猫】
— 壕野一廻@2日目ハ19b (@Type10TK) 2023年9月3日
独特の絵柄で独特の世界が展開されて引き込まれました。視点人物と他の人との間で起こる認識のずれ、みたいな話が何度か出てきて興味深い。あと、最後の話のラストシーンもよかった。 pic.twitter.com/cKrC5VbvT5
【3人の魔女の此の程/手癖で死ぬ】
— 壕野一廻@2日目ハ19b (@Type10TK) 2023年9月3日
私が癖強眼鏡キャラと価値観がズレた非人間キャラを好むことを知っていましたか?なんと両方摂取できたのでハッピーでした。
あと、構図がいちいち上手かったように思うけれど専門外なので変なこと言っているかも。 pic.twitter.com/qt259kVlWA
【山口元気作品集はーべすと/山口元気】
— 壕野一廻@2日目ハ19b (@Type10TK) 2023年9月4日
日常生活でのちょっとした心の動きを解像度高く描いた作品集という印象。とても楽しめました。
あの台湾料理屋さんモデルがあるのかな。気になっています。 pic.twitter.com/M3buvHEM2Y
【苦闘 終末弾道学 その1/万事急須】てことで読みました。まだ志半ばということなので続編に期待。わかりやすくするための回り道をいつもの著作より削っている印象で、その分全体像の見通しはいいかも。このシリーズが完成したら、それを読んでわからない部分について過去作を引くとよいのかも? https://t.co/yWzZgfNtEU pic.twitter.com/gvsNULvhWH
— 壕野一廻@2日目ハ19b (@Type10TK) 2023年8月14日
【メロンブックス構文の研究/納豆サンタ協会】
— 壕野一廻@2日目ハ19b (@Type10TK) 2023年8月14日
メロンブックスのスタッフおすすめコメントの特徴を抽出するという面白評論本。軽妙な文体で読みやすく、メロンブックスのコメントらしさとは何かを明らかにしています。
メロンブックス構文学?の基盤が整ったという印象なので、更なる展開が楽しみ。 pic.twitter.com/WeeNv8uGzF
私家版近世欧州軍事史備忘録 巻6 定量分析のすすめ
読んでいきます pic.twitter.com/DhSltKXtpD
— 壕野一廻@2日目ハ19b (@Type10TK) 2023年8月20日
どうしてもふわふわと語られがちな戦闘の勝敗みたいな話題、噂によればランチェスターの法則なんてものもあるらしいけど……。みたいな人に最適なのがこの本。戦闘、ことに前近代の戦いをどう定量的に分析するかについての過去の議論が手広く纏まっていて、著者自身も手を動かして事例適用を試みてくださっています。
本書で紹介されているデュピュイの定量化判定モデル(QJM)は、クラウゼヴィッツの戦争論からの演繹で戦闘を定量化しようというかなり大胆なものです。
読んでいて感じたのは、個別具体の戦場における戦闘能力の発揮効率を表現する係数である戦場変動要素の調整にかなり人の手を加えざるを得ない点が難点であるな、ということでした。
戦場変動要素を考慮しない理論値と実際の戦闘の結果はこう違う。ところで文献によるとこんな出来事があったから、こちらの勢力は戦場変動要素のうちこの部分にこれだけの格差があったと仮定して……よしよし。数字が合いましたね。
みたいな感じになっている。これは議論の叩き台としては決して悪くないと思うのですが、やはり発展途上の感が否めない。
そんな話を友人としていたところ、ベイズ統計学をうまく使えばこの理論はもっと見通しが良くなるのではないかという話題が出ました。どのみち全てのパラメータを決定的に定めることはできないのだから、戦闘の結果や途中経過において生じた出来事などを使ってパラメータのばらつきを少しずつ絞り込んでいく、というようなアプローチは取れないだろうかという考え方です*1。
やや辛いコメントに見えたかもしれませんが、QJMに対する批判にも著者は一章を割いていて、よくまとまっているし誠実な本だと思います。それに、デュピュイのモデルに問題があったとしても、このアイディアに基づいて一定の形あるものを作っただけでも偉大なことという感じがする。
この手の議論に興味のある方は是非一読することをお勧めします。
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